宮本浩次はいつだって本気だ。ただそれは生来持っている不器用かつ熱血さから来るものだと思う。
今でも忘れられないのは、2年前の「復活の野音」大阪野音2日目(最終日)の『ズレてる方がいい』での蔦谷さんへの「本気な方がいい!」アクション。
『本気な方がいい』で蔦谷好位置さんに対し、熱血教師が授業中に急に生徒を指さすような勢いで、蔦谷さんを指名。蔦谷さんもこれに呼応して、ハイテンションなキーボードで応える。
どう考えてもこの時も蔦谷好位置さんは本気なんですよ(笑)。それはどうでもいいけれど、この姿が今でも目に焼き付いていて、また『約束』での「いつだって本気さ」のセリフも相まって、「ああ、俺も多少は本気で生きなければならぬ」と思う。常に本気で生きるというのは殊の外難しいもので、生活や仕事においても、大体惰性や経験則、甘い見込みで「こんなもんでいいか」と済ましてしまう。
しかしそんな時に『本気な方がいい』の宮本浩次の姿が浮かんで「ああ、本気だ本気だ、本気でやろう」と思い直して、多少本気を入れ直す。そうすると不思議なもので後日「この間の資料よく出来てたね」と言われたする。やっぱり見てくれている人は見てくれているようで、そう言われると「うーむ、本気って侮れないな」と思う。だからといって毎回本気な訳じゃないんですけど(笑)。
宮本浩次がよく言う「因果応報」というのは、「本気な方がいい」にも繋がっているのかとも思います。本気でやれば本気で答えてくれて、手を抜けば駄目な結果が返ってきて。
・・・ただ、やっぱりいつも本気を出すというのは難しい。個人的には「だいたい本気な方がいい」ぐらいに構えています。その切り替えが上手い人が器用な人間、効率がいい人間なのかもしれません。
- 「TEKUMAKUMAYAKON」の謎の中毒性。
この曲は不意にかつ強烈に脳内再生される。「めんどくせい」はそこまで脳内再生されないのに、何かの中毒にかかったかのようにふと頭の中を流れる。それもメインボーカル部分では無くて、宮本のセルフコーラス部分が再生されたりするので、まあアルバムにも収録されるし、ということはツアーでもかなり演奏されると思うので、謎の中毒性については年内にもっと勉強オレをしたいと思っています。
来月は色々な音楽雑誌の表紙を飾ることになりそうです。もう本屋さん行ったら音楽コーナーは宮本浩次だらけになりそうです。
エレファントカシマシ、新たな季節へ――。宮本浩次、傑作『RAINBOW』を語る「自分はただの弱い、中年の男だと受け入れたことで、かえって瑞々しさを手に入れた。俺たちはこれで生きていける、しばらくはまた現役の人としてこの音楽界に立っていられると思いました」(宮本浩次/Vo)
宮本浩次の病気療養、ライヴ活動の休止というバンドにとって初の、そして最大の危機を乗り越え、エレファントカシマシは3年半をかけてアルバム『RAINBOW』を完成させた。現在発売中の『ROCKIN’ON JAPAN』12月号には宮本が登場。このアルバムを完成させるに至る長く深いプロセスを赤裸々に明かしている。
「エレファントカシマシは今、新しい“ファイティングマン”、50歳の“ファイティングマン”を作ったと思った」(宮本)
宮本が語るエレファントカシマシの新たな季節への解放、そしてアルバムの核心に是非触れてほしい。そして次号、5年ぶりにエレファントカシマシが表紙巻頭を飾ることが決定! 新生・エレファントカシマシの船出を大々的に祝福する