エレカシブログ 俺の道

ロックバンド・エレファントカシマシ、宮本浩次ファンブログ

エレカシ「STARTING OVER」全曲レビュー

小学校時代,音楽の成績がデフォで「2」のバカモノ青年が
ニューアルバム恒例の全曲レビューをさせてもらいます。
「町を見下ろす丘」の全曲レビューを見てたら,二年近く
前のレビューなので,携帯が二台前のだったりして
自分で見てて感慨深かったです。


僕は初回盤を買ったのですが,通常版の裏側の写真が
格好良くてちょっと迷いました。
四人が砂浜の丘へ駆け出すような写真ですね。
予算的に泣く泣く初回盤一枚にしました。


M1「今はここが真ん中さ!」
散々「このアルバムはカッコいい」と連発してますが
この曲はその表現にピタリと当てはまる曲。
これはタワーレコードの試聴機で一番最初に聞いたのですが
イントロからして今までのエレカシでは中々あり得ない。
トランペットやらサックスが入ってて驚いた。
『1,2,3,そう 今からがショウタイム』あたりの
テンポが心地いい。
『ドーンと解き放て』。ついに歌詞でも「ドーンと」来た!
『不思議だね心ってヤツは
 山越え 谷越え 時に空さえ越え行く』
頭の中にガーッと山と谷を越えて空に行ってしまうような
光景が目に浮かぶ。いい歌詞だなあ。
アルバムの一発目としては物凄く素晴らしい出来。
というかもうシングルカットでも大丈夫!
ライブでも物凄く盛り上がるぜ!


M2「笑顔の未来へ」
これはもう言わずもがなですね。
「俺たちの明日」が想定しているリスナーが男だとしたら
これは女性を想定した曲だと思います。
『あなたが望むなら 俺はいつでも大見栄きって
 かっこ良くいたいと思っているよ my little girl』
これは僕がいつも思ってることですね,個人的なことですけど(笑)。
蔦谷好位置さんが「デモテープを聴いた時点でアレンジが
頭に浮かんだ」と言っていましたが,ライブであれだけ
ガリガリに歌ってる曲がCDになると,こう緻密なアレンジで
こういうメロディアスな曲になる。アレンジャーは凄い。



M3「こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい」
もうタイトルだけで「ど,どんな曲なんだ?」とやたら
ドキドキしましたが,えーとごめんなさい。
「泣きそうになってしまいました」。
なんだろうなあ,普遍的な恋愛ソングというか,例えば
『うれしいことも 悲しいことも
 誰もいない一人のこの部屋じゃ馬鹿馬鹿しいや』
なんて歌詞があるんですが,それを宮本が歌うと
「そうか,宮本もそう思うよな!俺もだ!」みたいな
「この歌詞をこのメロディで宮本が歌ってくれるのが嬉しい」
そういうレベルです。不意にやられました。
そしてこの曲は唐突に終わるのですが,こういうの
今までのエレカシには中々ない終わり方。


M4「リッスントゥザミュージック」
これはラジオで聞いて,録音したのを何回も
聞いていたんですが,まず当たり前ですけどCDになって
音がめちゃくちゃ良いのと,前の曲が
「こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい」で
それに続いてこの曲を聴くと全然違って聞こえます。
歌詞としては平坦というか,静かに二人の世界を
歌ってるのですが,その歌詞に合わせるように
入ってくるピアノがやたら良く聞こえるというか
歌詞とメロディのお互いがお互いを高めあってる
印象を受けました。
そしてクレジットを見るとプロデュースとピアノは
蔦谷好位置さん。またもこの人にやられました(笑)。
アルバムの中でもかなり好きな曲です。
『ヘソ曲がりの未来地図は 尽きない尽きない思い』
この部分の歌詞が素っ晴らしい。


M5「まぬけなJohnny」
アルバムで連続して聞くと,前の曲との繋ぎ目がなく
作られていて,いつの間にか「まぬけなJohnny」に
入ってしまっている,という作りになっています。
またこれもライブとは全然違った出来になってますね。
これは何というか歌詞が共感できないというか
気持ちが今ひとつ分からないという感じです。
そりゃ僕はジゴロじゃないし(笑),この歌詞のような
情景や置き手紙をされたこともない(笑),という
個人的な理由なのですが。
ドラムが素晴らしく聞こえる曲ですね。
あとはもう『とんでもねえなエブリデイ
何とかなるさエブリデイ』の部分の歌詞と歌い方が
大好きですね。口癖になりそうなフレーズです。
最後の「ゴゴゴ」というバックコーラスが微妙ですね。
最初はえらい違和感がありましたが,慣れちゃいそうです。


M6「さよならパーティー
これはもう「俺たちの明日」から大好きで
さよならパーティー大肯定論」なんてヘンな記事を
書いちゃうぐらい大好きです。
iTunesを見てみたら再生が1000回越えてました(笑)。
で,あちこちで「大好き」と言ってると,結構
賛同してくれる方が多いんですよね。
上の記事であらかし書いてしまいましたが,やはり
宮本節と蔦谷好位置アレンジの素晴らしい融合というか
1と1が足して5になっちゃった,ぐらいにいい曲に
仕上がってると思います。
『オレの未来へと続く道』の部分は何百回聞いても飽きないなあ。


M7「starting over」
最初の車に乗り込む音とエンジン音。
何を思い出したかって「東京の空」の「真冬のロマンチック」の
出だし部分ですね(笑)。
「バンッ」「バンッ」と二回流れることで,乗っているのが
二人であることを印象づけています。
これは「今はここが真ん中さ!」に続くこのアルバムでの
「カッコいい曲」の双璧をなす曲ですね。
この曲を一言で表現しろって言われたら,間違いなく
「カッコいい」で終わりますねえ。
『行く先が晴れなのか?それとも雨か?それさえ知らずに』
から一気に
『そうしていつか町は変わり果て』へ変わるところが
大好きですね。このフレーズは反則的なカッコよさ。
目をつぶって聞くと,宮本の車に石君が乗り込んで
「さあ行くか」という情景が目に浮かぶのですが
でも石君結婚しちゃったしなあ,という余計な考えが
想像を邪魔する(笑),恐ろしくは爆弾発言。
冗談は置いておいて,歌詞を見ただけでは格好良すぎて
「歌詞負け」するんじゃないかとも思ったんですが
これも杞憂でした。
今までにないブルース調というか,聞き手の心を
掴んで一気に持っていってしまうようなカッコよさと
力強さ,そしてメロディとボーカル。
さっすがアルバムタイトル曲(小文字になってますが)と
思ってしまいました。
曲の最後で最初の歌詞を繰り返していくところに
「まだまだまだやっていくぞ」という決意を感じて
しまったのは深読みのしすぎでしょうか。


M8「翳りゆく部屋」
エレファントカシマシ初のカバー曲。
最初に野音でやったとき「え,ユーミンて言ったか?」と
めちゃくちゃ衝撃的だったのを思い出す。
周りもいっせいにざわついてましたねえ・・・。
ユーミンのラジオに出たときに,当のユーミン
『どんな運命が』の『が〜』という濁音伸ばしというのは
当時タブーに近かったと語っていました。
しかし宮本は遠慮なく(?),自分の声で
「がぁ〜」と歌う。
これは宮本浩次のヴォーカル力の勝利だよなあ。
もちろんユーミンが負けてるとかそういう意味じゃないですよ。
この曲の世界観に自分の声を合わせつつ,でも
自分のモノにしてるとこともある,というか
一言で言っちゃうと「歌うめえなあ!」。
主張しすぎないピアノとギターも好印象。
緻密に優しく仕上がってます。
曲の最後はもう宮本が好き勝手に『ベイベー!』とか
入ってますが,このテイクを採用しちゃて正解!と思います。


M9「冬の朝」
最初に聞いたときには全体的に「傷だらけの夜明け」に
近い印象を受けました。弾き語りという点だけかも
しれませんが。
何気に「神社を横切り近道を足早に行く人」という
歌詞が入ってるのが嬉しいですね。
Music Loversで(ボツになりましたが),光浦さんが
エレファントカシマシとは○○なバンドだ」という
質問に対して,「日本なバンド」と答えてたのを
思い出します。歌詞に日本語が多くていいと。
神社ってあちこちにあるじゃないですか,日常的に。
でも他のアーティストで歌詞に入ってるのは聞いたことがない。
それを普通に違和感なく入れてしまう宮本浩次が好きだ。
何となく高校生ぐらいの男女をイメージしてるんですかね?
ちくしょー,あのくらいの年齢になってもう一回
やり直したいなあ。色々とやり直したい。
えーっとすみません,二行ほど物凄い個人的な感情が入ってます(笑)


M10「俺たちの明日」
「冬の朝」とは打ってかわって力強い頑張れソング。
もうこれも言うに及ばず,という感じもしますが。
でもこれが世の中に物凄く響いたんですよねえ。
加藤浩次に始まり,僕の周りの男友達でもすごく
ウケがいいですね。「これはいい!」と。
宮本浩次が明快に「さあ がんばろうぜ!」と
歌っちゃってますからね。
声も聞いてるだけでこっちの元気が出てくるような
クリーンな力強さがありますね。
ずっとシングルで聞いてて思いっきり今更ですが
これを聞くと「宮本が言ってるんだから明日も
がんばるしかねえな!」と(半ばヤケですが)
思ってしまう自分がいます。
エレカシを語る上では間違いなくエポックメイキング的な
曲でしょうね。
これを目当てにアルバムを買う人,多いはずです。


M11「FLYER」
歌詞をパッと見ただけでは「starting over」に
近いというか,続曲みたいな印象を受けました。
何度も「あふれる熱い涙」というフレーズが出てきますね。
言わずもがな「今宵の月のように」ににも頻出するワードです。
でもよく聞くと世界観は「俺たちの明日」と共通なんですよね。
『オレは右へ オマエは左へ
 素晴らしい思い感じたら落ち合おう』
というのは「お互いに頑張ろうぜ!」という「俺たちの明日」
と共通する情景だと思います。
プロデュースも同じくYANAGIMANさんですしね。
歌詞もメロディも骨っぽいですね。力強い。



以上です。書いてたらあっという間に終わってしまいました。
実は最初は「ダメな所があったら批判してみよう」てな
心意気で聞いて書いてたんですよ。でも結局そういう所が
なかったんですよね(笑)。
「うわー,この歌い方好きだな」「このフレーズがいい」
というのは沢山あったんですけど,「ここをこうして欲しい」
という所はありませんでした。
もうひったすらに「カッコいい」の連発でした。


ユニバーサルミュージックに移籍して,もうエレカシ
流れる血液が一気に活性化したなあ,というのも
アルバムを通しで聞いたときの印象です。
「町を見下ろす丘」から比べると何か吹っ切れたというか
「もう一度やってやるぜ!」という心意気を感じました。
あ,だから「STARTING OVER」なのか(笑)。
あとは蔦谷好位置さんとYANAGIMANさんの力が
バランスよく出ている,というのも感じました。
蔦谷さんは緻密に優しく,というアレンジをし
YANAGIMANさんは力強く格好良く男臭く,という
両人の良さがうまく噛み合って,文句なしに
「カッコいいアルバム」に仕上がったのかなあ,と
思いました。


あれ,おかしいな,こんな手放しで大絶賛する
予定では全然なかった。
でも聞いてるとどんどん書きたいことが溜まってきて
気づいたらこんな長文になってるし。
でも聞いてたらまた書きたいことも出てくるだろうし。
そしたらまた書くので,「またか!」とは思わずに
良ければ読んでみて下さい。
そんなあとがきを書いていたらまたリピートで
「今はここが真ん中さ!」が流れてきて
「おーし!」と喜んで聞いちゃってる自分が居ます。


これだけでも十二分に楽しめるのに,一ヶ月ちょいで
「桜の花、舞い上がる道を」が発売という
もう男稼業フル稼働なエレカシ
「STARTING OVER」という名盤を出したんだから
大丈夫。桜戦線に殴り込んでセールス的にも
エレカシの黄金期を迎えてやりましょう!
utsuraさんのブログで知ったのですが,Amazonにて
『STARTING OVER』の初回限定盤が在庫切れ!
 近年のエレカシではあり得ない嬉しい悲鳴。)


日本を代表するロックバンド,エレファントカシマシ
ここにありだ,ドーンと行け。