エレカシブログ 俺の道

ロックバンド・エレファントカシマシのファンブログ

ゲストとゲスト 宮本浩次×水道橋博士

冒頭に簡単なプロフィール紹介。水道橋博士って49歳なんですね、めちゃくちゃ童顔だ。
博士の本は何冊か持ってるんですが(お笑い男の星座シリーズはお世辞じゃなく面白い)
そこでも「テレビのスタッフに『おい、そこの若手!』って言われる」と言ってました(笑)、さすがに今じゃないでしょうけど。


赤色の正方形のソファーの中で見つめ合う二人。


以下、水道橋博士は「水」、宮本浩次は「宮」で。


水・宮「どうも、はじめまして!」
宮「僕は勿論テレビで拝見して」
水「実際に見るには二回目なんですよ。22、3年前に吉祥寺のライブを僕らがやって、打ち上げの居酒屋にメンバーが居て
  あまりテレビには出ていなかったけれど、ロック歌手でものすごく注目されていて、だから『わっ』って。それ以来」
宮「あ、そうですか・・・」


水「お互いに聞きたいことを考えてきて、っていうので。じゃ僕からですね。
 『バンド結成以来自分たちのスタンスを一貫しているエレカシ。それを続ける難しさはなんですか?』
宮「うーん・・・」
水「30年ですかね、結成して」
宮「そうですね、中学生の同級生で」
 「まあちょっとタバコをよく吸うんですよ、最近。最近っていうかずっと。
  タバコを・・・、やっぱ歌なんですよ。相性も・・・、相性のいい友達と中学一年の時に会ってですね。
  それはすごいでかいんですよ。僕ら、守られた場所にいるって言っちゃあれなんですけど。
  付き添いの人が居るって言っちゃうとメンバーに失礼なんですけど、仲間が居るってことが凄く大事。自分が一生懸命歌うためには」
水「でもバンドの危機ってあるじゃないですか。うまくいかない時とか、契約解除もあったし」
宮「・・・まあでも契約切られたときも26ぐらいなんですよまだ。確かに、まあそういう・・・、さっきタバコの話したんですけど
  大人がこういうこと言っちゃあれなんですけど、歌って説得力あるんですよ。自分の歌は多分、一生懸命。
  それがですね、46でこれだとどうなんだろうと思うんですけど。自信があったんですよね、自分の歌と」
水「それはよく分かりますよ。インタビューを読んでてもずっと俺は最前線にいるんだ、この世代では一番才能あるんだって自信は伝わってきた」
宮「でもたまに最近ちょっと堅苦しい・・・、ファンの人も居るんで堅苦しいって言っちゃうとファンの人に悪いんだけど。
  きちっと、きちっと表現さえされれば、今でも思ってるんですよね。何とか自分の実力を最大限活かせるモノがって。
水「それ30年間思い続けてるわけだよね?」
宮「未だに思ってるんですよね」
宮「漫才のコンビを組まれてるってことは、バンドとは違うんだろうけど、そういう意味では共通する部分ってのが」
水「うちは25年やってるんですけど、親よりも長いじゃない。親とは20歳ぐらいで離れるから。
  そこより長くなってくると、家族とは違う存在になってくる。しんどい時っていうかコンビ解散っていう状況になっても
  これだけ長くなってると、ならないですよね」
水「でもピンで仕事することも増えると、またバンドとは違う形態がありますよね」
宮「ピンで博士が出ることが多いわけじゃないですか。使い分けてるって言っちゃあれなんですけど」
水「本業が漫才師だと思ってるので。宮本さんもロック歌手っていうかバンドマンが本業だと思ってますよね」
宮「勿論です」
水「漫才やってる自分が本来であって。多分収入の95%以上がテレビだけれど、本業は舞台の上だと思ってるんでしょうね」
水「演奏してる時、ライブやってる時が本業だと思うか」
宮「本当はライブなんだと思います。多分一番緊張感もあって。一方でシンガーソングライターの所もあるから
  自分の曲を、曲を作って歌詞を作って、録音するって違う意味では物凄く盛り上がる作業なんですよ。形になっていくってのは」


宮本、序盤は相当に人見知りの面というか緊張感が丸出しのような気がします。警戒感全面!みたいな。
そしてタバコの話はどこに行ったのか?(笑)「タバコ」は今日の対談の代表的なキーワードになるんですけど。
分からないけれど「タバコを一緒にくゆらすような仲間(メンバー)とやってきた」という意味でタバコという言葉を使ったんでしょうか。


(中略)



水「逆にエレカシは今後どうなりたいですか?老後とかって考えますか?老後っていうか、バンドって何歳までやれるんだろう。
  まあストーンズまでやるってことは70までやるってことだもんね」
宮「いやだからタバコを凄い吸うんですよ俺。タバコ吸わないと思うだけで泣けて来ちゃう」
博士、会場笑。
水「ロックミュージシャンはタバコ吸っちゃだめだよね」
宮「いやダメでしょうね。山下達郎さんとかタバコ止めたって話を聞くと。そしてタバコ止めるとこんな声が出るんだって思ったって話を聞くと、聞いた話によると。
  今んとこそんなにね、大丈夫なんじゃないかと思うんだけど、みんなにタバコ止めた方がいいタバコ止めた方がいいって言われると
  そうかやっぱりタバコ吸うってのは良くないんだなと。それでも夜中まで曲をやっちゃったりすると、どうしてもタバコとお菓子を食べちゃうんですよ」
水「とても46歳の悩みとは思えないね(笑)」
宮「クロワッサンの中にチョコレートが入ってるのが本当に美味しくて(笑)」
水「どんだけ幼稚な悩みなんだよ(笑)」
宮「お茶で、タバコ吸っちゃってやるんですよね。メンバーみんなタバコ吸うんですよね。タバコ自分でやめてて誰かに「タバコちょうだい」って・・・」
水「その話でいつエレカシの将来に(笑)」
宮「そうすると多分、歌が歌えればきっとね・・・」
水「タバコを止めれば将来も良い声で歌ってるんだろうと?」
宮「そうです、良い声で多分それなりの年齢の声を維持して、歌っているだろうと、メンバーでやってると、なんとなくイメージしてるんですけど」
水「70くらいまで歌う気は全然ある?」
宮「そうですね、あの歌う気もあるし、他にやることもないんですよね、もう」
水「役者もやってましたよね、ドラマ、浜田さんの・・・」
宮「あれはノリノリで、楽しかったんですけど、自分が思ったのは、シンガーソングライターとか曲作ったり丁寧に歌ったりするのが本当に好きなんですよね」
水「文章書くのもね」
宮「いやー僕はね文章がですね。あのー前にですね、うまいんですけど」
水「文章もうまいと自分で思ってる」
宮「思ってます、自信。でも凄い人、それこそ明治時代の・・・」
水「森鴎外に比べれば下手?」
宮「下手」
水「そりゃそうでしょう(笑)」
宮「で、森鴎外は僕より歌下手なんですよ」
水「そりゃそうでしょう、聞いたことが無い(笑)」
宮「そうすると森鴎外と勝負するならば、勝負するってホームラン王(バット振る仕草)」
水「森鴎外と勝負するんだったら俺は歌だと」
宮「レッド・ツェッペリンと勝負するんであっても、レッド・ツェッペリンは日本語で歌歌わねえだろうと、勝つ場所を見つけてるんでしょうね」
水「うん。うん」


そりゃタバコは止めて貰いたいけれど、ここまで来ると宮本浩次とタバコはワンセットというイメージがあるのも確か。
浮雲男」はタイトルからしてモロですが、例えば「覚醒(オマエに言った)」の『タバコをふかしながら街を歩いた』
『車が通り過ぎて 俺を通り越して行く タバコをふかすオレを』なんて、そのフレーズだけで歌詞の情景が浮かぶんですよ。
宮本がタバコ吸いながらブラブラと東京の街を歩いて、車が通り過ぎて、それを呆然と眺める宮本。それがバッと一瞬で頭に浮かぶ。
もう僕の中には宮本=タバコ、のイメージが定着しすぎちゃっている。
禁煙したらしたでそこからどんな歌詞が浮かぶんだろうという楽しみはあるんですけど、果たしてどうなるんでしょうか。


そしてこの辺から宮本の緊張感が解けてきてノリノリになる。ホームラン王の部分に至っては王貞治さんを彷彿とさせるプチ一本足打法を(笑)。
でもこれ見てるとMASTERPIECE以外の候補タイトル「バビロニア大学」「ホームラン王」のうち、後者については「歌ならば森鴎外に勝てる」
「野球に例えるならば俺たちはホームラン王だ」というイメージで考えついたのかもしれません。これは完全に僕の想像です。



以下からは「大地のシンフォニー」と宮本浩次の歌作りのこだわりについて。


水「歌が前に出てますよね。で、ロック歌手では無いというか、あまりがならないというか凄く丁寧に歌っている感じが」
宮「その方が伝わりやすい曲があるってことをですね、意識的に気がついたのがこの曲(大地のシンフォニー)でした」
水「うんうん」
宮「YANAGIMANっていうプロデューサー、51くらいになるのかな。『宮本さん怒鳴らないで』とか、ある種先生ですよね。
  で僕も30年やってるんだけれども、やっぱり張り切りすぎると力んでたりとかする。そこをうまい具合に」
水「抑制するところは抑制して」
宮「そうなんですよね」
水「エレカシの場合、詩先行曲先行ってのはあるんですか?何かドキュメンタリー見てると曲からなんだ、と思って」
宮「そうです、曲を最初に作ることが多くて、一つの法則、法則じゃ無いですけれど、メロディの縛りがあるって言ったら変なんですけど
  その中に言葉を入れるのがいいみたいですね。言葉も五・七・五みたいにしてやってくことも出来るんでしょうね。分かんないですけど。
  和歌とか俳句みたいにしてね。「ふるいけや」みたいにあるじゃないですか「かわにとびこむみずのおと」とかあるじゃないですか。
  そういう韻の代わりになってるというか法則、メロディなんじゃないかなという風に思うと、曲のメロディに対して歌詞をどこまで凝縮出来るかみたいな
  ところだったと思うんですよ。後で自分で理屈づけすると。そうするとメロディが先にあったほうが、歌詞が乗せやすい」
水「でもこれは歌詞なんか直前にかなり変えた?」
宮「そうなんです、あのー、いややっぱりね。あのーすみませんね本当にね。デビューして約25年で。自分の歌ってこの程度やれば大体こんな感じってあるんですよ。
  歌詞なんかも最初『YANAGIMANさんこれでいいよね歌詞』って。そしたら『宮本さん、最後の二時間まで頑張りましょう』って言ってくれるんですよ。
  そういうのって嬉しいんですよね言われちゃうと。言って欲しいんですよやっぱり、なんか。叱咤激励。すっとそれがインプットされちゃって
  ガーッて車で行ったですよその時は。(運転しながら)最後の二時間まで考えなきゃ考えなきゃって。それでこう最後に『本当の自分の場所ってどこにあるんだろう』
  『演じてきたんだろう 似合わない役割を』っていうのが」
水「最後に?」
宮「最後に、本当に最後に、歌入れの前夜の夜中に出来て」


博士「扉の向こう」見たようです。その当時(化ケモノ青年)のインタビューでは「メロディが出来たときに入れた仮歌詞には
それはそれでその場のテンションが含まれていて面白い」的なことを言って、でそのまま「化ケモノ青年」が出来たようなんですが
時間が限られたメロディに対してどんなフレーズを入れようとずっと考えれば、言葉が凝縮・洗練されていい歌詞になるのかもしれません。


宮「やっぱり有り難いですよね、自分で最後にきちんと考えればさっきの博士の言葉にもありましたけど、『手を抜かないのがいい』。
  本当に当たり前なんだけどその通りで、手を抜かないとちゃんと書けるじゃんみたいな、よくわかんないですけど」
水「分かります分かります、仕事に慣れてくるとね」
宮「どうしてもやっつけてるわけじゃなくても。言ってくれるプロデューサーも嬉しかったし。それに応えてちゃんと『俺やったぜ』みたいな」
水「歌詞ってあれですか?自分に向けて書いてるんですか、それとも他人へのメッセージで書くんですか?」
宮「発見があるんですよ、自分の中にこんなのがあるのかって。ま、変わりゃしないってのが基本で。自分で見つけたときの爽快感ってあるじゃないですか。
 『あ、なんだ俺これだったのか』みたいな。そんなのをみんなにスパン!と分かって欲しい。
  例えばシャルル・ボードレールの「悪の華」の序文に、まあフランス語読めないですけど、『君が、殺人も放火も強姦も犯せないのは勇気が無いからさ』
 『我が友よ、さあ偽りの同類よ』みたいに呼びかけられて、19世紀の詩人に。スパーン!おー!と男心が。
  同じように歌の人が『オマエ新聞の脇から女の尻チラチラ、誰だって構わないくせにもう』みたいなことをズバーン。でもゴー!って言うとですね
  スパーンと来るんじゃ無いかと。だからまあ自分が驚きですよね、音楽や小説にせよ、そういうモノから衝撃を受けたその赤裸の、僕なんか化けの皮全部剥いじゃったらですね
  骨だけになって風邪引いて倒れちゃうぐらいの化けの皮とインチキ臭さで存在している。それでもその一点のさらけ出したい何かっていうのがあって。
  そういうのを歌の中で・・・」
水「やっぱりこうあぜ道や裏道を歩いてたとしても胸を張れみたいなメッセージを受けますね、エレカシの男ソングにはね」
宮「ありがとうございます」
水「だからもう、自分の境地、今居る境地の言葉がどんどんメロディに乗っかっていくんでしょうね」
宮「ありがとうございます」


先生この辺では完全にハイテンションになって、「悪の華」や「世界伝統のマスター馬鹿」部分は身振り手振り目つきも変わって饒舌に。


この後「大地のシンフォニー」スタジオ歌オンエア。


前回の記事で出てきたタワレコ新宿店の店員さんに「ゲストとゲストではトミ居ないんですよ」って予め言われていたのですが
実際にハンドマイクの宮本、石君と成ちゃん、でも中央にいつもいるトミが居ない。この喪失感ってのを想像してた以上に感じてしまって。
いつも中央にドンと構えて、後ろから宮本を支えてきたトミが居ないエレファントカシマシというのは有り得ないくらい寂しい。
四人が三人になったから単純に3/4になったんじゃなくて、もう1/20とか数字では表せないくらいの寂しさがあります。
いつもの四角形が変な三角形になってしまった、あの団結の四角形をもう一度、としんみりと思ってしまいました。まあサポートの方も入るんですが。


宮「昔はライブやんのも面倒くさくって。なんでこんなことやんなくちゃいけないんですか?みたいな、無茶苦茶ですけど、7曲ぐらいでおしまい」
水「アンコールなしでね」
宮「ええ、もう実際すごく精一杯歌うから、七曲ぐらいで、それ以外出来るか!そんな感じなんですけどね。・・・・・・今は35曲ぐらいやるんですけど(笑)」
水「あっはっは、そんなにやるんですか。何時間ぐらいやるんですか」



冒頭部分を見ながら、正直これは不完全燃焼で終わっちゃうかもと思ってたんです。
ならば対談形式じゃなくて水道橋博士がインタビュアーとしてエレカシ宮本に聞く、みたいな形式の方がお互い楽になるんじゃないかと。
でも徐々に緊張が解けて饒舌になる宮本を見てると、「徐々に距離が縮まる男と男」の光景をリアルタイムで見ているようで面白かったです。


また水道橋博士という切り口が新鮮で「漫才師とロック歌手として長くやっている二人」が仕事や人生に語る様は熱く面白い。
渋谷陽一さんや山崎洋一郎さんのインタビューだと良くも悪くも宮本とインタビュアーの関係が深すぎて、またお互いの前提の条件が多すぎて
いきなり「こういう流れで30年エレカシが来ていて、それで今回の作品」とそれまでの話をはしょりすぎちゃって、たまに読者置いてけぼりのような
コアすぎるインタビューが多いんですが(勿論それはそれで楽しいんですが)、今回のように全然仲良くない、違う道を歩んできたプロの男二人が
最初は緊張しながら、でも徐々にお互いの接点を見つけていって、最後はある程度打ち解けて、仕事とは、人生とは、と熱く語る様は格好いい。



あとはやっぱりエレファントカシマシにはトミが必要です。宮本の後ろにはあのパワフルドラマーが必要だ。
ダイヤモンドよりも強固な硬さを誇る四角形が復活するのを心から待っています。




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